今回は営業および営業サポートの観点から一本。
デジタル化やDXが叫ばれている昨今、販売管理システムや顧客管理システム(CRM)を入れる企業が増えている。システムは便利なもので、導入自体には賛成なのだが、なんだかおかしなことになってる企業も多いのだ。
エピソード:営業の現場から
ダイナー「このシステムの使い方教えてもらえません?顧客の申込日データが欲しくて」
メンバー「使い方教えるのはいいですけど、申込日のデータなんてないですよ」
ダイナー「えっ、販売管理で一番大事な申込日がないってどういうこと?」
メンバー「ウチが処理した日はありますが、顧客の申込日はないです」
ダイナー「えー、じゃあ顧客の申込日ってわからないの?」
メンバー「申込メールを調べればできますが、1ヶ月分調べるのに10時間くらいかかりますね」
ダイナー「 」
システム化自体はやるべき
営業の場面ではシステム化が進んでいる。多くの企業は以下の2つを入れているだろう。
- 販売管理システム:受注と売上、および仕入、在庫、出荷、請求を管理する
- 顧客管理システム:顧客情報、取引履歴、要望やクレームなどの顧客情報
システム化が進むくらいだから、メリットが多いことも事実。ここでメリットも整理しておこう。
【販売管理システム・顧客管理システムのメリット】
・アクセスが容易で、営業活動を効率化できる
・データが一元管理でき、情報をストックしやすい
・プロセスが自動化でき、工数が削減できる
・データ分析によって、マーケティング戦略や顧客サービスに活かせる
・情報収集が容易なため、リアルタイムでの情報共有が可能になる
手動管理や紙管理に比べて、システムのメリットは非常に大きい。たとえば、大企業ではグローバルに同じERPシステム(SAPとか)を入れることで、日本全国にある在庫が一瞬でわかったり、世界中の業績が一瞬で集約できたりということが可能になる。中小企業でも、自社サービスに登録してもらうだけで、入力された顧客データが自動的にシステム内に溜めることができるのだ。システムをこれから導入する企業では「システムを入れるかどうか」ではなく「どのシステムを入れるか」という考え方になっていることだろう。
せっかく高価なシステムを入れたのに微妙…?
いまではどの企業でもやっているシステム化。私も色々なシステムを触ってきた。年間1億円のランニングコストをかけている企業もあれば、高いお金をかけて自社製作して「うちのシステムはカネかかってるぞ、どや!」と胸を張る企業もあるのだが、実際にシステムを触ってみると微妙だったりするのだ。たとえばこんな感じ。
【販売管理システム・顧客管理システムの微妙な点】
・紙の文書をスキャンして、システムにアップロードするだけ
・担当者によって入力内容がまちまち
・なにかあったら備考欄に入れてしまう
実際にシステムを触っている現場に聞くと、「この使い方には慣れた」と言う一方、「このシステム、使いづらいんですよね。。。」と不満を漏らす場面も多い。便利な点もあるが、思っていたほど業務がラクになっていない、というのが偽らざる本音のようだ。実際私も触ってみても、なぜこうなった?首をかしげることの方が多かったりする。
デジタルのシステムにありがちな「アナログの罠」
せっかく高価なシステムを入れたのに、使いづらいという感想が現場から多く出る。この理由を一言でまとめるなら、デジタルのシステムを、アナログに使っているからだろう。
左がデジタル、右がアナログの動き。デジタルのメリットは、状態を数字や記号で表せること。左の絵なら「2上がって、3下がって、2上がった」と表現できる。対してアナログのメリットは、物事を曖昧に、ありのまま捉えられること。右の絵なら「緩やかに上がって、下がって、また上がっている」だろうか。
私が言っている「デジタルのシステムをアナログに使う」とは、数字や記号で表せるのがデジタル化のメリットなのに、それを活かしていない、という意味だ。データはあるのに数値化ができておらず、集約もKPIもできない、という状態。これではせっかく高価なシステムを入れても、ポテンシャルを発揮できているとはとても言えない。そしてデジタル化ができなければ、DXにも繋がるわけがない。このシステムがデジタルなのに業務はアナログのまま、という状況を私は「アナログの罠」と表現している。
ではどうすればアナログの罠を脱却できるのか。【営業サポート】本当にDXできてますか?アナログの罠を脱却し、デジタル変革で成果を上げる戦略② に続く。
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