【採用】面接官が知るべき、本当に価値のある人材評価軸②

採用に関すること

今回は【採用】面接官が知るべき、本当に価値のある人材評価軸① の続き。

前回のまとめ

前回は「ヤバい面接3選」として、以下を紹介した。

①スキルマッチングに傾倒している
②コミュニケーションが一方通行
③実績を深掘りしてこない

これを踏まえ、今回は私自身が採用面接官として、どんな人材評価軸をもって採用面接を行っていたのかをご紹介してみる。私の採用基準はオリジナルだが、500人を面接する中で改良してきたメソッドであり、実績と経験に裏付けされていることはご理解いただきたい。

私が採用面接で重視しているポイント3選

先にお伝えしておくと、私はスキルマッチングをそれほど重視していない。全く確認しない訳ではないが、書類で開示済の内容を、面接でも確認するのは時間のムダである。ウソをついてないか、過大(過小)ではないか、程度の確認に留めている。

ではスキルを見なければ何を見るのかを3点挙げてみる。重要度がやや異なるので順位をつけてご紹介。

第3位 描いている将来像を確認する

私が採用面接で大事にしていること第3位は「描いている将来像を確認する」。これは実施している企業も多いと思うし、私も当然やっている。

最初に言っておくと、個人の将来像と、企業の将来像をマッチさせる必要はない。そもそも完全にマッチすることは絶対にないので、マッチ度合いなどどうでもいい。では将来像で何をジャッジするのか。それは候補者が描いているキャリアを、企業側が受け入れられるかを考える。例えばバックオフィスであれば、「宇宙に行きたい」はマッチしないが「経理と労務の両方やりたい」は叶えられるかもしれない、と考えるわけだ。もし将来像を叶えてあげられなければ「他に行ったほうがいいかも」という話になる。

この将来像、私は採用面接でこのように確認している。

  • 5年後、10年後にこうなりたい、という将来像はありますか?
    • なぜそう考えたか、までを確認する
  • 提示された将来像に対し、自社ならこんな風に実現できるかも、という話をする
    • 面接は相性が大事、候補者にも自社の将来をきちんと提示する

ちなみに、私が候補者として採用面接を受けたとき、1番目の「将来像」は確認されることはあっても、2番目の「自社ならこんな将来が実現できる」を提示してくる面接官はあまり多くはなかった。ただ候補者としては2番目の質問の方が印象に残るし、親身になってくれる企業だ、という印象を与えられる。もしやっていないなら、ぜひ試してもらいたい。候補者の志望度合いは確実にアップするはずだ。

第2位 組織のために動けるかどうかを確認する

私が採用面接で大事にしていること第2位は「組織のために動けるかどうかを確認する」。いくら学歴があろうと、いくらスキルがあろうと、組織貢献できない人材であれば意味がない。またスタンドプレーをする人、他責思考の人もここで引っかかる。

この「組織のために動けるかどうか」、私は採用面接でこのように確認している。

  • 現職において、企業や組織の課題ってなんだと思いますか?
    • なぜそう考えたか、までを確認する
  • その課題に対して、あなたが出来そうなことってなんでしょう?
    • ここで「自分のスキルを上げる」とかは望ましくない
    • 組織全体のことを考えて最適解を出そうとしていればOK

組織貢献を確認するなら、現職での行動を話してもらうのが一番手っ取り早い。ただし現職ではしがらみもあり、実際には行動できないことも多々ある。よってここでは実績ではなく、自分ならどうするか、という「if」の世界で構わない。

意外と多いのが「自分のスキルを上げる」という回答だが、これはあまり望ましくない。「組織貢献」ではなく「逃げるための自衛」とも取れるからだ。そうではなく「スキルを上げて何をするか?」の方が大事。また周囲の迷惑を顧みず、自分の成果を取りに行くスタンドプレーも要注意だし、「株主が」「上司が」と繰り返す場合は他責思考(※)の可能性があるのでこれも要注意。

※他責思考の人は自己成長しないので、判明した時点で私は評価を落とす

ここまで深掘りすれば、組織貢献への考え方はおぼろげながら見えてくるはずだ。

第1位 自分で決断してきたかを確認する

私が採用面接で大事にしていること第1位は「自分で決断してきたかを確認する」。管理職候補から新卒・専門卒まで、全てのビジネスパーソンの採用で最重要視しているポイントだ。自分で考えて、自分や周囲が納得できる決断をしてきた実績があるかどうかを見ている。

現代ビジネスは変化のスピードが速く、未経験のことを次々と判断していく能力が求められる。そしてこの能力はビジネスだけでなく、プライベートでも鍛えることができる。自分で考えて、自分で行動して、自分が責任を取る。この動きができる人材こそ、現代ビジネスのキーパーソンになれると私は考えている。なお私はこの能力を「自走力」と呼んでいるが、自走力のある人を採用するとこんなメリットがある。

【自走力のある人を採用するメリット】

  • 入社後のキャッチアップが速い
  • マネジメントコストが最小限で済む
  • どんな仕事でも対応できる
  • 論理的思考力、業務スピード、リーダーシップ等の能力を持っていることが多い

こちらが指示しなくても自分で考えて動くので、キャッチアップが速いし、教育も最低限で済む。また指示待ちではなく自分で動き、必要に応じて報告もするので、マネジメントが楽なのもメリット(※)。そして決断をすればするほど成長が速くなるので、おのずと論理的思考力、業務スピード、リーダーシップ等が鍛えられている。一言で言って仕事がうまいのが自走力の高い人の特長だ。

※マイクロマネジメントは向かない、細かすぎる上司とは合わないことがあるので注意

ではこの「自走力」、採用面接でどうやって確認するのか。具体例を挙げるとこんな感じ。

  • 何かのサービスを導入した経験があれば、それを深掘りする
    • それは自分で考えましたか?それとも上司の指示でしたか?(自走力の確認)
    • なぜそのサービスを導入したのですか?(ロジックの確認)
  • これまでの転職先は、どういった判断で決めてきましたか?
    • 業種、職種はどうやって決めましたか?(自走力の確認)
    • 決め手はなんでしたか?(判断軸の確認)
  • 新卒向けには、これまで自分で決断したことを深掘りする
    • なぜ経済学部を選んだのですか?
    • 一人暮らしの環境で、自分で決断したことはなんですか?

ここでの確認はそんなに難しくない。自分で決断をしているか、そしてその決断した理由を聞くだけだ。もし「上司の判断で~」とか「責任がなかったので~」と言ってくれば、「では貴方が責任者ならどうしてましたか?」と聞くのもよい。自分で決断していない場合、何も語れないはずなので、ジャッジも容易である。

私が採用した人材がどうなったか(結果)

最後に、実際に私が採用した人材はどうだったか、を記しておこう。

先に言っておくと、確かに既存スキルは少し足りていなかった(そういうと怒られるかな笑)。しかし入社当初から自分で動き、積極的に新しいことに挑戦し続けてくれた。その結果、組織としては以下のような成果を上げることができた。

私が採用した人材の実績

  • キャッチアップが速く、すぐにチームの中心に成長
  • RPA導入による1~2人分の工数削減
  • 電子ワークフロー導入による統制とミスの削減
  • ペーパレス施策によるリモート勤務への移行

スキルマッチングを重視するよりも、成長が早かったり、仕事が上手だったりする方が価値が高いと思いませんか?そもそも、いま要求されるスキルなんか、1日8時間働けば誰だって覚えるものなので、短期的な視点で採用するようなもの。それよりは自社の目指す方法と一致している、仕事な上手な人を育てた方が、中長期的には価値が高いと思う。

まとめ

今回は私自身が採用面接官として持っている人材評価軸を3点ご紹介した。

第3位 描いている将来像を確認する
第2位 組織のために動けるかどうかを確認する
第1位 自分で決断してきたかを確認する

スキルマッチングや学歴も大事だし、そういう人材も当たる可能性はあると思う。ただそういう「わかりやすい人材」は高給での奪い合いになるし、ひっぱりだこなので短期離職も多い。そして高給な割に仕事ができない人も結構な割合で混在している。それよりは埋もれている「仕事ができる人」を発掘した方が、圧倒的にリーズナブルだということだ。

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