【仕事のコツ】ビジネスコミュニケーション論:正論で失敗する理由②

仕事のコツに関すること

今日は【仕事のコツ】ビジネスコミュニケーション論:正論で失敗する理由①の続き。「正論を述べる」というビジネスの常識をひっくり返してみる。

まず最初に、なぜ正論では問題は解決しないのか、そのメカニズムを分析しておく。

論理の大事さはみんな分かっている

イギリスの文豪・シェークスピアは「人間は感情の動物だ」と言ったらしいし、ビジネス系コラムでも「人間は論理じゃなく感情で動く」という話はよく見る。だがよく考えると、いい大人が、それも理性の働いてるビジネスパーソンなら、感情を抑えて論理を重視しているはずだ。衝突を避けたがる日本人ならなおさらのこと。

それでも「正論だから従え」では、理想通りに人が動かないのは事実。表面上は従ったとしても、対応スピードが遅かったり、質が悪かったり、最悪の場合は逃げることもあり得る。人の感情を重視しなければ、ビジネスがスムーズに進まないのは事実だろう。

正論で人が動かないメカニズムの正体

論理的に正しくて、感情を抑えているのに、なぜ人は動かないのか。その理由は「相手も正論を準備するから」だ。相手の正論に納得がいかない場合、言われた方は自分の感情が納得できるよう、自分なりの正論を新設することができる。自分が作った正論だから、感情的に納得もできる。

正論とは自分の都合だけを考えたもの。相手にだって正論はあるので、双方が正論をぶつけて膠着状態になること、これが正論で人が動かないメカニズムの正体である。

正論がぶつかるとどうなるか

ここでひとつ、実例を上げてみる。

私がよく見る番組に競馬予想TV!というのがある。お互いの競馬予想を披露し、議論するのだが、あの番組はまさに正論と正論のぶつけ合い。東大卒(水上さん)がいかに正論を言っても、他のパネラーも正論を持っているから結論は出ないし、時には感情的な口論にもなる。結局、物事は前には進まず、問題解決をしないまま終わるのだ

なお、実例の選び方がおかしいという「正論」に対しては、そもそも私がおかしいから仕方ないという「正論」をぶつけておく。

正論をぶつけるよりも優先すべきこと

正論をぶつけても問題解決はしない。ならばどうすればいいのか。

①問題解決をすることにフォーカスする

ビジネスを先に進めるためには、正論をぶつけなくても、問題解決すればいいのだ。どうすればゴールに辿り着くかという問いを常に頭に置くこと。これが効果的なコミュニケーションの出発点になる。

②相手が動けない理由を、相手の立場に立って考える

問題解決には相手の協力が必要で、なおかつ相手の心の壁を取っぱらう必要がある。ここで重要なのは、相手が動けない理由を、相手の立場にたって、冷静に考えることだ。相手が動けない理由は、だいたい3つのパターンに分けられる。

  1. 忙しいから
    自分も相手も人間。24時間は変わらず、その中で優先順位をつける必要がある。
  2. 能力がないから
    これはちょっと過激な表現だが、全ての人が自分と同じ動きが出来るとは限らない。
  3. 自分の知らない話があるから
    自分は相手の全てを知っているわけではない。氷山の一角しか見えていない場合、その下には見えない大きな塊があるのかも。

相手が動けない理由を推測できれば、あとは確認作業だ。例えば「出来ない理由を教えていただけますか?協力しますよ」とか「何か困ってることはないですか?私にできることがあれば言ってください」などだ。積極的傾聴法とも言う。

繰り返すが、正論とは自分の都合だけを考えたものだ。相手の立場に立って考えて、場合によってはサポートを申し出ること、これで問題解決に向けて前進できる可能性はぐっと高まる。

とあるメンバーの話

最後に、私が「うまくコミュニケーション取れたな」という事例をご紹介。私がまだマネージャーになる前だが、以下のような状況のメンバーがいた。

【とあるメンバーの状況】
・仕事が期限通りに終わらない
・報告をしてくれ、と頼んでも報告してこない
・仕事中に居眠りをしてしまうことも多い
・他のメンバーは「クビにしてほしい」と考えていた(退職勧奨を希望していた)

居眠りをする=やる気がない、というのは正論で、当時のマネージャーからも「場合によっては退職勧奨しろ」と伝えられた。ただ私がよくよく観察してみると、マジメにやろうと努力はしてそう。そこで休憩がてら、立ち話で30分ほど話をしてみた。 

ダイナー「最近、仕事どうよ」
メンバー「いちおう、ちゃんとやってるつもりですが…」
ダイナー「居眠りしてたって話を聞いたけど、どっか体調でも悪いの?」
メンバー「実は、最近あんまり寝れてないんですよね…」

どうやら夜あまり寝れておらず、集中力が出なくて困っていたという。そこで病院に行くように言ったところ、睡眠時無呼吸症候群と診断されたのだ。寝る時に器具をつけたところ、居眠りは劇的に減り、メンバーとの関係性も良化した。つまり彼の正論は、居眠りをする=夜眠れないだったのだ。一人のメンバーを失わなくて済んだ、問題解決ができた、と思うと同時に、責め立てていたらどうなっただろう、と今でも思う。

まとめ

  • 正論とは自分の都合だけを考えたもの
  • 相手の立場に立って考えてコミュニケーションすれば、問題解決に近づく

いくら仕事ができてロジカルな人でも、正論で相手を責め立てては問題解決はせず、成果も出ない。まずは競馬予想TV!でも見て、コミュニケーションの取り方を勉強しよう。

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