今日は企業におけるいバックオフィス採用の話で一本。
私は3回転職をしていることもあり、色んな企業や採用エージェントから転職オファーが届く。それを見ていて、バックオフィス採用について思うところを書いてみる。
バックオフィスのオファー内容、実はどの企業も似ている
私の場合、経理キャリアが長いこともあって、経理ポジションのオファーが一番多い(管理部長系、DX系も多い)。しかしどれも内容は一緒にしか見えない。記載必須の募集要項(事業内容、ポジション、仕事内容、勤務地、年収など)を除くと、具体的にはこんな感じ。
- 募集背景 :増員募集 or 補充採用
- 必須条件 :経理経験○年以上、マネジメント経験
- 歓迎要件 :公認会計士資格
- 求める能力:コミュニケーション能力、簿記○級以上
- キャリア :全社決算、監査対応など多様なステップアップを目指すことが可能です
もちろん、業務内容はもう少し細かいし、ポジションや年収は違うが、アウトラインや要求されるスキルはほぼ一緒である。これが10社、20社と来るのだから、見る方としては非常に困る。何を本当に求めてるのか、ハッキリしないのだ。
バックオフィスのオファーは要求レベルが高い
バックオフィス採用でもうひとつ気になる点がある。異常なほど要求レベルが高いのだ。たとえばこんな感じ。
【求める人物像】
・経理スペシャリストとして、決算業務、開示業務、子会社管理をお任せする
・会計監査全般を担っていただき、会計監査人に適切に説明する
・世界各国の海外子会社の経理責任者とコミュニケーションを取る(英語必須)
・子会社における課題解決に対する積極的な支援をする
・決算早期化、DX化をリードしていただく
・経理グループメンバーの指導、教育をする
・公認会計士資格があれば尚可
なんでこんなに要望盛りだくさんなの。こんな完璧超人、私はほとんど合ったことないんだけど、市場にやたらと転がってんのかいな。しかもこのレベルで年収700万~しか出さないとか、上から目線にも程がある。逆に、御社はこれが出来ているのかと問い詰めたい。
オファー内容が似ている点と、要求レベルが高い点。2つを踏まえて考えると、ひとつの仮説に辿り着く。それはバックオフィス人材の採用コンセプトを、本気で考えている企業が少ないのでは?ということだ。
バックオフィスの採用はエンジニアより難しい?
私も経理責任者として150人以上、バックオフィス責任者として500人以上の面接をしてきたのだが、個人的にはバックオフィスの採用は、エンジニアの採用より難易度が高いと思っている。なぜか。
まずはエンジニアの採用を考えてみる。以下は経済産業省の資料から抜粋。
引用:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」
エンジニアを代表とするIT人材は、年々需要が増加していることがわかる。人材供給は2019年をピークに減少しているのに、ニーズは右肩上がり。2023年時点でも37万人の不足、2030年には58万人の不足と予測されているのだ。
企業変革はIT技術がべースだから、IT人材の需要は高まるのは当然。ただエンジニアの場合、差別化するポイントが結構明確であり、企業ごとの特長は出しやすい。具体的には開発技術や開発環境、キャリアと成長可能性、プロダクトの魅力などである。つまりエンジニア採用は、企業自身が差別化をしようと力を入れて、工夫しているのだ。エンジニアから見ても「この言語、このプロダクト」とコンセプトで絞れば、企業を絞れてマッチすることも多い。
翻ってバックオフィス採用はというと、言わずもがな全ての企業に必要な人材であり、企業間の競争も激しい割に、オファー内容はほぼ同じで、全ての能力を要求してくる。差別化ができていない上に、マッチする人材は完璧超人だけ。これが私がバックオフィス採用が難しいと思う理由である。
実際に、私のバックオフィス採用でも、エンジニア採用よりも苦労することがほとんどだった。半年以上かかることも多く、通過率も10%を切っていた。いま考えると、採用部門に作ってもらったオファー文が「オファー内容が同じでハードルが高い」というまさに反省すべきもので、コンセプトを絞りきれていなかったのがまずかったのだと思う。結局は妥協して、一芸に秀でている方を採用した記憶がある。
まとめ
ここまでをまとめておくとバックオフィス採用の現状はこんな感じ。
- オファー内容がどれも同じで、工夫を感じない
- 要求レベルが非常に高く、ハードルが高く感じる
- どの企業も必要な人材なため、実は採用難易度は非常に高い
この状況を踏まえて、どうすればバックオフィス採用がうまくいくのか、差別化ができるのかを【採用】選ばれる企業、選ばれない企業:実はバックオフィスの採用は難しい②にて分析する。なお②で紹介する採用戦略は、実際に私が実践していたものなので、何か気づきがあると嬉しい。
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