【育成】納得できる評価面談:私が気をつけていたこと②の続き。①では「評価される側」の視点、②では「評価する側」の視点で書いてみた。今回は「評価面談のコツ」について、私の考えを書いてみる。あくまでも個人の想いなので、気楽に読んでいただければ。
評価面談で私が気をつけていたこと
まず大前提として①で私のポリシーについてこう書いた。
メンバーがイヤだと思う評価面談はしない
これは「耳触りのイイことばかり言う」という意味ではない。評価が下がっても、厳しいフィードバックでも、モチベーションを下げないという意味だ。では実際に、評価面談で私が気をつけていた具体的なポイントをいくつかご紹介。
①きちんと目標設定をしていることが大前提
評価を決めるときは「目標設定に対してどうだったか」が大前提。つまり正しい目標設定をしていなければ、何をどう伝えても正しい評価にならない。私が思う、正しい目標設定のポイントは以下。
【目標設定のポイント】
・メンバーの目標はチーム目標をベースに作る(個人的な目標はサブ目標)
・メンバーに期待することをきちんと伝える
・メンバーが設定した目標の難易度を確認する
詳細は【育成】納得できる評価面談:私が気をつけていたこと②を参照のこと。
②評価基準は「目標を達成しているか」で見る
繰り返すが、評価を決めるときは「目標設定に対してどうだったか」が大前提である。よってチーム目標が達成できたか、メンバー目標が達成できたか、の二軸で見る、というかそこしか見ない。
なお評価をする中で、当初の目標設定にないことを評価項目に入れることもある。「チーム目標達成のため」の行動であれば、目標から大きくズレていないので、評価の対象にしてよい。
逆に私が気をつけていたのは、目標を無視して、自分の感覚で評価をつけないことだ。評価者が個人的にどう思ったか、なんてハッキリ言ってどうでもいい。個人の感情を入れると「好き嫌い評価」になるし、メンバーとしても「目標作ってもムダ」とか「何も知らないくせに偉そうに!」となり、目標設定が機能しなくなり、退職率も上がる。
ちなみに、私が某企業を辞めた理由も、完全に好き嫌い評価のせいでしたわ。。。何をやっても好き嫌いで評価してくる上司のために働きたいとは思わないしね。
③フィードバックは前向きな言葉が8割、厳しい言葉が2割
次は評価面談時のフィードバック方法。まずは評価の高低に限らず、私が気をつけていた点。
私の場合、基本的に「今期もよくやってくれた」「次期もよろしく」という気持ちがベースにある。よって感謝の気持ちを込めて、前向きにフィードバックをすることが前提になる(感謝の気持ちがない人は私とタイプが違うので、参考にならないかも)。
それでも評価面談なので、評価ダウンを伝えることも当然ある。その場合は「今期こうだったから評価下がるけど、来期に繋げるにはどうすればよいか、一緒に考えていこう」という話し方になる。過去を掘り下げるよりも、未来の自分を変えていこう、というスタンス。これなら厳しいことを言いつつも、次は自分が変わろう、というモチベーションにも繋がる。これをフレーズにしたのが表題の「前向きな言葉が8割、厳しい言葉が2割」である。
なお評価ダウン時でもモチベーションを下げないために重要なのは、「目標に達していない」と本人が自覚していることである。だから目標設定は重要なのだ。
④自己評価よりも、少しだけ高く評価する
これも評価フィードバックの話。特に評価アップ、評価ステイの方に有効な方法である。
日本のビジネスパーソンの場合、自身を過小評価をする人の方が多い。これは完全に体感なので根拠はないが、謙虚な国民性が関係しているのだろう。なので自己評価にはマイナスのバイアスがかかっていると考えておいた方が良い。
もう1点。自己評価よりも高い評価をされると、人間心理として「期待に答えないといけない」と思うものだ。またそう思った人ほど、次の目標設定で、自然とストレッチな目標を立ててくる。これが本当の狙いだったりする。(こちらが操っているのではなく、本人の自覚を促すイメージ)
評価フィードバックのコツは他にもいろいろあるのだが、キリがないので今回はここまで。
評価面談の本当の目的
ここであえて「そもそも論」に戻る。評価面談をなんのためにやっているか、と聞かれたら、こう答える人が多いと思う。
- 給与や賞与を決定するため
- 役職やグレードを決定するため
確かにこういう金銭的なことは大事だが、本質的ではない。私は評価面談をする本当の目的をこう考えている。
目標管理を通じて、メンバーの変化を第三者視点で伝える場である
ずっと仕事やってれば能力は伸びるし、成果も出るに決まってる。でも本人はこの変化に気づかないことが多い。評価面談とは、この「自分じゃ気づかない変化」を第三者視点で伝える場だと考えている。
- 立てた目標に対して、どれくらい努力して成果が出せたのか
- 努力の結果、どれくらい成長できたのか(できなかったのか)
これらを認識することで、達成感や焦燥感に繋がり、さらなる成長に繋がる。成長すれば勝手に評価は上がるし、給与も賞与も上がる。これが本来あるべき流れだと思っている。
なので私としては、評価面談は上下ではなく、横からのイメージがしっくりくるのだ。評価が難しいと感じている方は、一度見方を変えてみるといいと思う。上下ではなく横で見る、と考えて、第三者からはこう見えてるよ、という正直な感想を伝える。これができれば、評価面談としての目的はほぼ達成していると考えている。
なお、このエントリーが「育成」にカテゴライズされているのは、評価面談は育成の機会である、と私が考えているからだ。評価面談が「給与と賞与を決める」だったら育成じゃないしね。
今回のまとめ
- 正しく目標設定しないと、正しく評価面談は行えない
- フィードバックは前向きに行う
- 評価とは、目標管理を通じて、メンバーの変化を第三者視点で伝える場である
今回はあくまでも個人の考えではあるが、評価面談で困っている人の参考になれば幸いである。
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